文部科学省では、障害者が生涯を通じて、教育やスポーツ、文化など様々な機会に親しみ、豊かな人生を送ることができるよう、障害者の生涯を通じた多様な学習を支える活動を行う個人、または団体について、その活動内容が他の活動と比較して顕著な行為に対し、他の模範と認められるものに対して功績をたたえる文部科学大臣表彰制度を平成29年より設けています。
このたび、戸塚区で30年以上にわたって、障害のある方の生涯学習等を支援してきた団体「ぐるーぷ・ちえのわ」が、その功績により文部科学大臣表彰に選べれました。
受賞に思うこと 奥山 雅子
ぐるーぷ・ちえのわは、小雀の地で生まれ、育ちました。
13年程前、大家さんのご厚意から、廉価で家を貸していただくことができ、ちえのわ第1ホームが誕生しました。
今では4軒のちえのわホームで、充実した活動ができるようになりました。
この度の表彰は、大家さんを始めとして、地域でちえのわを見守り、支えて下さっている皆さまと共にいただいたものと改めて思い、感謝の気持ちでいっぱいです。
また、今回の受賞を機に思うことは、「ちえのわ」の名前の由来ともなった、山村千絵さんのことです。
今から30年余り前、重い病と闘う千絵さんと、ご家族を囲むつながりの輪が生まれました。
千絵さんが9歳で旅立たれた後、その貴いつながりの輪から「ぐるーぷ・ちえのわ」が誕生しました。
千絵さんがまかれた種が、大きな花を咲かせてくれたように思います。
12月4日の文部科学省内の講堂で行われた表彰式には、千絵さんのお父様、山村龍一さんにも出席をお願いしました。
活動紹介の展示スペースには、千絵さんの写真を置きました。
今回の受賞に対して、龍一さんは、「ただただ、感謝しかありません・・・。千絵はまだ9歳のままでいるようです。12月1日の誕生日には、大好きだった不二家のペコちゃんのお菓子を9個、いまだに買ってしまいます・・・。」と、笑いながら話してくれました。
「千絵が僕を動かすんです。そういう力を持った子なんです」とも・・・。一昨年の3月には、4軒目のちえのわホームのリフォームで、龍一さんの山龍造園さんが、車椅子ごと部屋に入れるようにと、スロープの設置工事を提案されました。
「設置はしたいけれど、工事の費用がなくて・・・」という私たちに、龍一さんは「これは、千絵からのプレゼント。千絵がやれと言ったから」と。・・・今、思い出しても込み上げてくるものがあります。
ちえのわの願いは、障がいのある人もない人も、共に楽しく活動が出来る場を創ること、また、誰でもが、違いを認め合い、その人らしく安心していられる居場所を創ることです。
「多様性を認め合う社会を」と言いながら、異質なものを排除して壁を造り、ヘイトスピーチを浴びせる風潮が強まりつつあるような昨今の社会。千絵さんからのプレゼントは、大きな勇気と、夢を与えてくれます。
あきらめずに一歩ずつでも、人と人とのつながりと伝え合いを大切に!と、天国から、千絵さんの声が聞こえるようです。
「ぐるーぷ・ちえのわ」は、小雀医院から左へ30mほどのところにあります。